『沖宮』に登場する「四郎とあや」をイメージし、植物染料で染められた絹糸 撮影/石内都 ©Ishiuchi Miyako
村々は
雨乞いの まっさいちゅう
緋の衣 ひとばしらの舟なれば
魂の火となりて
四郎さまとともに海底の宮へ
(石牟礼道子が亡くなる10日前に口述した句)
2018年2月10日に90歳で亡くなった作家・石牟礼道子と染織家・志村ふくみ(93歳)は、
近代と前近代のあわいを見つめながら長年仕事に打ち込んできた。
現代日本への危機感を募らせた二人は、「今こそ伝えておかなければ」と語り合い、
次世代に残したい最後のメッセージを新作能「沖宮」に託す。
新作能「沖宮」は石牟礼の育った天草を舞台に、
戦に散った天草四郎と生き残った幼い少女あや、
そして、人々の死と再生の物語である。
干ばつに苦しむ村のために、雨の神である龍神への人柱として
亡き天草四郎の乳兄妹であるあやが選ばれる。
緋の衣を纏ったあやは、舟に乗せられ一人沖へ流されていく。
やがて稲光とともに雷鳴が轟き、
あやは、天青の衣を纏い現れた天草四郎に導かれ
妣なる國である“沖宮”への道行きが始まる。
戦に散った天草四郎と
生き残った幼い少女
そして、人々の死と再生の物語
志村ふくみの衣を纏い、
石牟礼道子の世界を舞う。
シテ〈天草四郎〉
金剛 龍謹(能楽金剛流若宗家)
幼いころから舞台に立ち、自身の芸の研磨と継承に努力してきた。石牟礼道子さんと志村ふくみさんの思いが詰まった「沖宮」が良い能になるように力を尽くしたい。
金剛 龍謹
シテ〈天草四郎〉
金剛 龍謹(能楽金剛流若宗家)
幼いころから舞台に立ち、自身の芸の研磨と継承に努力してきた。石牟礼道子さんと志村ふくみさんの思いが詰まった「沖宮」が良い能になるように力を尽くしたい。
株式会社 求龍堂
代表取締役社長
足立欣也
建築家
安藤忠雄
作家
池澤夏樹
株式会社 ほぼ日
代表取締役
糸井重里
詩人
伊藤比呂美
哲学者
国際日本文化センター顧問
梅原 猛
株式会社 シナジーカンパニージャパン
最高経営責任者
大瀧純子
東京大学名誉教授
姜尚中
作家
坂口恭平
ポーラ・オルビスホールディングス
代表取締役社長
鈴木郷史
作家・僧侶
瀬戸内寂聴
大原美術館館長
高階秀爾
作家
高山文彦
日本文化研究者
コロンビア大学名誉教授
ドナルド・キーン
JT生命誌研究館館長
中村桂子
漫画家
萩尾望都
津田塾大学教授
早川敦子
デザイナー
三宅一生
ギタリスト
村治佳織
書家
矢萩春恵
デザイナー
吉岡徳仁
批評家・随筆家
若松英輔
思想史家・評論家
渡辺京二
(敬称略・五十音順)
東日本大震災後、自らの仕事の根本が揺らぐように感じた染織家・志村ふくみが、長年交流のあった作家・石牟礼道子へ手紙を送って始まった往復書簡。折しも、石牟礼は生涯最後の作品として新作能を構想しているところだった。作家と染織家が新しいよみがえりを祈って紡いだ次世代へのメッ セージ。往復書簡と二度の対談、遺作となった「沖宮」を収録。志村ふくみによる能衣裳をカラーで掲載。
出版社:ちくま文庫詩人・石牟礼道子と染織家・志村ふくみ。 現代日本への危機感を募らせた二人は、次世代に残したい最後のメッセージを新作能「沖宮」に託した。 「沖宮」は戦に散った天草四郎と生き残った幼い少女、そして、人々の死と再生の物語。シテは若宗家・金剛龍謹。 本書は、志村ふくみの能衣裳や、原作の舞台である天草・島原の風景を、写真界のノーベル賞といわれるハッセルブラッド賞受賞の石内都が撮り下ろした「沖宮」の世界に誘うイメージブック。
神よ、われらを救いたもれ
石牟礼道子の言葉に乗せて
志村ふくみの色がまたたく
東京公演の初映像化
新作能「沖宮」の舞台スチール写真集に加え、東京公演DVDが付属したDVDブック。DVDの監督は志村ふくみの映像作品「Colors of Life」の牛島悟郎。DVD本編は、東京公演舞台映像、特典映像として天草島原風景、志村ふくみ・洋子・昌司、能楽金剛流インタビューを収録。舞台スチール写真集は、京都公演舞台写真、原作あらすじ、詞章等を収録。
目次石牟礼道子と志村ふくみの願いを叶える会
株式会社 FUKUMI SHIMURA
〒600-8018 京都市下京区河原町通四条下ル市之町251-2 壽ビルディング2F
TEL:075-746-3303 FAX:075-746-3304
MAIL:info@shimuranoiro.com
受付時間:11:00〜17:00(土日休)
「しむらのいろ」ホームページ:
https://shimuranoiro.com
志村 ふくみ(染織家・随筆家)
草木によって染め、染織の世界で作品を長年作り続けている志村は、石牟礼の言葉に深く感動し、石牟礼の持つ世界と自分の世界とをいつしか重ね合わせるようになっていた。この度、石牟礼の遺志を受け継ぎ色と言葉の世界を新作能「沖宮」で実現させたいと決意している。
写真提供/都機工房
石牟礼 道子(詩人・作家)
長年、水俣病を通じて現代文明と向き合い、生命界の声なき声に耳を傾けてきた。晩年、パーキンソン病を患いながらも、最後のメッセージとして新作能「沖宮」を書き上げ、30年来の友人であった志村ふくみに舞台衣裳を託した。
写真提供/朝日新聞社