「緋の衣 撮影 / 上杉遥」
新作能「沖宮」について、
また「沖宮」の原作の著者である石牟礼道子氏が「能」「沖宮」に託した思い、
そして「現代の能」の魅力と可能性について語り合います。
パネリストには新作能「沖宮」に関連のある御三方、金剛龍謹氏、鎌田東二氏、佐藤岳晶氏を招き、
モデレーターを志村昌司が務めます。また金剛龍謹氏による仕舞『沖宮』もご覧いただけます。
どなたさまも安心してご参加いただけるよう、わかりやすい解説を交えながらお話しします。
石牟礼道子と能 -新作能『沖宮』の世界−
日時:2021年12月12日(日)14時~16時
会場:立命館大学 大阪いばらきキャンパス 立命館いばらきフューチャープラザ グランドホール
プログラム: ①「新作能『沖宮』公演を振り返って」(志村昌司)
②仕舞『沖宮』(金剛龍謹氏)
③鼎談「新作能『沖宮』の世界の広がり」
料金:〔会場〕1,500円 〔オンデマンド配信〕1,000円
※オンデマンド配信期間:2021年12月16日(木)~ 2021年12月31日(金)
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〈オンデマンド配信〉の詳細はこちら
2021年6月12日京都・金剛能楽堂にて、新作能「沖宮」公演を無事に終えることができました。
昼・夜合わせて350名以上の方にご鑑賞いただき、ライブ配信では100名を超える方々にご鑑賞いただきました。
石牟礼道子と志村ふくみのメッセージがご覧になった方々の心に届いたことを願っております。
今回の公演では、「大妣君(おおははぎみ)」という新しい役が登場したことによって、
「沖宮」の世界の地平がさらに広がったと感じています。
今後も「沖宮」を深めていく活動を行っていく所存でございます。
引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。
なるべく多くの方々に「沖宮」のメッセージを伝えたい、
ということが本来の私たちの願いであることをふまえ、
会場にお越しいただけなかった方にもオンラインで公演を鑑賞していただけるように
アーカイブ配信をお届け致します。
※終了いたしました。
撮影/矢幡英文『遺言』(ちくま文庫)
このたび金剛家の皆さまによって沖宮が上演されることになりました。
石牟礼さんもさぞおよろこびのことと存じます。
石牟礼さんにお会いできなくなりましてから、
私はますます石牟礼さんの大きな存在に気づき、
実に稀有な予言者でいらしたように思います。
すでに、苦海浄土、不知火をお書きになりました時、
今日のことを予知していらした気がします。
文学ではなく、今は天にむかって唄い上げなければと私におっしゃって
沖宮の原稿をなんども送り下さいました。
衣裳の色を決めて下さり、私共は一しんに染めました。
今日再び沖宮が上演されますことは、この苦難のただ中にあり
現世の人々に石牟礼さんが光をあたえて下さるような気がします。
沖宮が必ず新しい力を人々に与えて下さると信じております。
どうぞ御高覧下さいますことを心よりお願申上ます。
令和三年一月 志村ふくみ
日時 : 2021 年 6 月 12 日(土)
場所 : 金剛能楽堂 (京都市上京区烏丸通中立売上ル /地下鉄「今出川」駅より徒歩5分)
島原の乱の後の天草下島の村。
干ばつに苦しむ村のために、雨の神である竜神への人身御供として、
亡き天草四郎の乳兄妹の幼い少女あやが選ばれる。
緋の衣をまとったあやは緋の舟に乗せられ、沖へ流されていく。
舟が沖の彼方に消えようとした瞬間、稲光とともに雷鳴が鳴り、あやは海底へ投げ出される。
あやは天青の衣をまとった四郎に手を引かれ、
いのちの母なる神がいるという沖宮へ沈んでいく。
そして、無垢なる少女あやの犠牲によって、村に恵みの雨が降ってくる。
戦に散った天草四郎と
生き残った幼い少女
そして、人々の死と再生の物語
「四郎とあやの道行き 撮影/上杉遥」
村々は
雨乞いの まっさいちゅう
緋の衣 ひとばしらの舟なれば
魂の火となりて
四郎さまとともに海底の宮へ
(石牟礼道子が亡くなる10日前に口述した句)
シテ
金剛 龍謹(能楽師)
1988年、金剛流二十六世宗家金剛永謹の長男として京都に生まれる。幼少より、父・金剛永謹、祖父・二世金剛巌に師事。5歳で仕舞「猩々」にて初舞台。以後「石橋」「鷺」「翁」「乱」「道成寺」「望月」「安宅」など数々の大曲を披く。自らの芸の研鑽を第一に舞台を勤めながら、大学での講義や部活動の指導、各地の学校での巡回公演など学生への普及活動にも取り組む。2012年に発足した自身の演能会「龍門之会」をはじめとして、京都を中心に全国の数多くの公演に出演。同志社大学文学部卒業。京都市立芸術大学非常勤講師。公益財団法人 金剛能楽堂財団理事。
シテ
宝生 和英(能楽師)
昭和61年東京生まれ。父、第19世宗家宝生英照に師事。宝生流能楽師佐野萌、今井泰男、三川泉の薫陶を受ける。平成3年 能「西王母」子方にて初舞台。平成20年に宝生流第20代宗家を継承。これまでに「鷺」「乱」「石橋」「道成寺」「安宅」「翁」、一子相伝曲「双調之舞」「延年之舞」「懺法」を披く。伝統的な公演に重きを置く一方、異流競演や復曲なども行う。また、公演活動のほか、マネジメント業務も行う。海外ではイタリア、香港を中心に文化交流事業を手がける。第40回松尾芸能賞新人賞受賞。
ワキ
有松 遼一(能楽師)
能楽師ワキ方高安流。谷田宗二朗師・飯冨雅介師に師事。京都大学大学院博士課程(国文学)研究指導認定退学。同志社女子大学嘱託講師。京都を中心に、各地の舞台に出演。海外公演や学校ワークショップの参加、旧三井家下鴨別邸の能楽イベント主催など、普及活動にも努める。新作能「高虎」「新〈淇〉劇」執筆。朝日新聞では連載コラムを担当。大学の講義では能楽や和歌など古典の魅力を伝える。能が現代に生きる芸能・舞台芸術であることを問い続ける。
カウンターテナー
村松 稔之(声楽家)
京都市出身。東京藝術大学音楽学部声楽科、同大学院修士課程独唱科を首席にて修了。その後渡伊、G.カンテッリ音楽院古楽声楽科にて研鑽を積む。第20回ABC新人オーディション最優秀音楽賞、第24回青山音楽賞新人賞、第13回東京音楽コンクール第3位等受賞。2017年度野村財団奨学生、2019年度京都市芸術文化特別奨励者。三枝成彰喜劇「狂おしき真夏の一日」2020年“井上道義×野田秀樹”《フィガロの結婚》に出演。またLFJ音楽祭にて現代歌曲を取り入れた選曲を歌うなど古楽から現代音楽まで幅広いレパートリー作りに取り組んでいる。来春、エアフルト歌劇場(ドイツ)でのデビューが決まっている。
ソプラノ
辻村 明香(声楽家)
大阪音楽大学大学院歌曲研究室修了。宗教曲をはじめ日本歌曲、ドイツ歌曲など多数の演奏会に出演。オペラでは「ヘンゼルとグレーテル」グレーテル、「白狐の湯」お小夜などを演唱。セルヴィリアを演唱した関西歌劇団定期公演「皇帝ティートの慈悲」が、平成28年度大阪文化祭賞奨励賞を受賞。第14回KOBE国際コンクール奨励賞、第15回日本演奏家コンクール特別賞受賞。アンサンブルグループ「ノスタルジア」メンバー。関西歌劇団正団員。
株式会社 求龍堂
代表取締役社長
足立欣也
石牟礼道生
「ほぼ日」代表
糸井重里
浪曲師
玉川奈々福
脳科学者
中野信子
JT生命誌研究館名誉館長
中村桂子
津田塾大学 教授
早川敦子
能楽師
安田登
漫画家
ヤマザキマリ
作家
米本浩二
批評家
若松英輔
思想史家・評論家
渡辺京二
東日本大震災後、自らの仕事の根本が揺らぐように感じた染織家・志村ふくみが、長年交流のあった作家・石牟礼道子へ手紙を送って始まった往復書簡。折しも、石牟礼は生涯最後の作品として新作能を構想しているところだった。作家と染織家が新しいよみがえりを祈って紡いだ次世代へのメッ セージ。往復書簡と二度の対談、遺作となった「沖宮」を収録。志村ふくみによる能衣裳をカラーで掲載。
出版社:ちくま文庫詩人・石牟礼道子と染織家・志村ふくみ。 現代日本への危機感を募らせた二人は、次世代に残したい最後のメッセージを新作能「沖宮」に託した。 「沖宮」は戦に散った天草四郎と生き残った幼い少女、そして、人々の死と再生の物語。シテは若宗家・金剛龍謹。 本書は、志村ふくみの能衣裳や、原作の舞台である天草・島原の風景を、写真界のノーベル賞といわれるハッセルブラッド賞受賞の石内都が撮り下ろした「沖宮」の世界に誘うイメージブック。
神よ、われらを救いたもれ
石牟礼道子の言葉に乗せて
志村ふくみの色がまたたく
東京公演の初映像化
新作能「沖宮」の舞台スチール写真集に加え、東京公演DVDが付属したDVDブック。DVDの監督は志村ふくみの映像作品「Colors of Life」の牛島悟郎。DVD本編は、東京公演舞台映像、特典映像として天草島原風景、志村ふくみ・洋子・昌司、能楽金剛流インタビューを収録。舞台スチール写真集は、京都公演舞台写真、原作あらすじ、詞章等を収録。
目次新作能「沖宮」公演実行委員会
TEL:075-746-3303
MAIL:okinomiya2021@ateliershimura.co.jp
志村 ふくみ(染織家・随筆家)
草木によって染め、染織の世界で作品を長年作り続けている志村は、石牟礼の言葉に深く感動し、石牟礼の持つ世界と自分の世界とをいつしか重ね合わせるようになっていた。この度、石牟礼の遺志を受け継ぎ色と言葉の世界を新作能「沖宮」で実現させたいと決意している。
写真提供/都機工房
石牟礼 道子(詩人・作家)
長年、水俣病を通じて現代文明と向き合い、生命界の声なき声に耳を傾けてきた。晩年、パーキンソン病を患いながらも、最後のメッセージとして新作能「沖宮」を書き上げ、30年来の友人であった志村ふくみに舞台衣裳を託した。
写真提供/朝日新聞社